導入事例

2022.10.20

家を建ててからがスタート。大和ハウス工業が提供する新たな価値とは

家を建ててからがスタート。大和ハウス工業が提供する新たな価値とは

目次

「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、一気通貫の価値提案で継続的な成長を目指し、新たな価値創造に挑戦する大和ハウス工業株式会社。その新たな価値のひとつとして、2019年2月より「ダイワファミリークラブ」(戸建住宅のオーナー様専用Webサイト)において、また、4月からはLINE公式アカウントにて、チャットボット「おもてなしSuite」を活用した「住まいに関するAI相談システム」の本稼働を開始しています。

今回は、大和ハウス工業 武田様・百武様・井谷様・中村様・吉田様・斉藤様にお話を伺いました。

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大和ハウス工業

CS企画部 担当部長 武田

お客様からの声、世の中に存在する技術と社内業務を組み合わせ、CS(Customer Satisfaction:顧客満足)の観点から新たな提案・企画を行う。

CS企画部 百武

お客様と信頼関係を築いていくことを目的として、改善点発掘やアイデアの考案を行う。本プロジェクトではLINEにおけるリッチメッセージ※1の配信内容の精査や各グループ会社とのやり取りを担当。

CS企画部 井谷

同社総合技術研究所に所属し、「データ利活用」をテーマとした研究に従事。研究内容のビジネスへの落とし込みとして、CS企画部を兼務。

CS推進部 コミュニケーション企画グループ グループ長 中村

オーナー様がお住まいになってから発生するさまざまなお困りごとに対する情報を「ダイワファミリークラブ」で提供。メールだけでなくLINEでも情報提供を実現できないかと考え、LINE公式アカウントの立ち上げを担当。

CS推進部 コミュニケーション企画グループ 吉田

「ダイワファミリークラブ」において、オーナー様にいかに情報を届けるかという点に注力。リッチメッセージ※1等を活用して、情報の企画や発信を実施。

情報システム部 斉藤

大和ハウス工業のWebサイトの開発と管理を担当。本プロジェクトではプロジェクトマネージャーとして、LINE公式アカウントにチャットボットを表示するための開発等を実施。

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LINEを活用したAI相談システム

武田:大和ハウスグループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、さまざまな事業を展開していますが、お客様には伝わりにくいという課題がありました。私は、建物を建ててそれで終わりということではなく、建ててからその建物のなかでの人生が始まる、ということを念頭に置き、いかにお客様とスムーズに繋がりを持てるかということを考え、企画を提案しています。今回のプロジェクトは、これまで行ってきた冊子・Webサイト・メールでの情報発信だけではなく、今の時代に合わせ、LINEを活用しています。ただしこちらから一方的な発信をするだけではなく、お客様のライフステージに合わせたご提案と、それを読んだお客様が質問を投げかけられるような場所を作りたいと考えていました。

井谷:私が2017年に総合技術研究所で「データ利活用」を研究し始めた頃、社内のCS部門にて「お申し出対応業務を効率化したい」という話がありました。それを受け、過去のお申し出データを分析すると案外簡単に解決に導けるお問い合わせが多数あることが分かりましたので、そこでチャットボットを活用することで業務効率化や顧客満足度向上を図れるのではないかと検討を始めました。そのタイミングで「おもてなしSuite」と出会い、まず総合技術研究所でチャットボット活用のPoC(Proof of Concept:実証実験)を実施しました。PoCフェーズを経て、2019年2月には「ダイワファミリークラブ」で、2019年4月にはLINE公式アカウントで、それぞれチャットボットの正式活用を開始しています。

武田:総合技術研究所でPoCを実施したチャットボットを、CS部門で本活用することで、まずは、戸建住宅オーナー様を対象とした住まいに関するお困りごとに対して自動で応答するシステムが構築できました。

「Living Salon Tokyo」ショールーム テラスにて撮影

チャットボットが自己解決をサポート

---これまでお客様からのお問い合わせにはどのように対応されていたのですか。

武田:お電話でのお問い合わせは24時間365日受付しています。そのうち、住宅設備に関わる内容が上位を占めております。例えば台所やお風呂が故障した、といったような内容ですね。その中には、お客様ご自身で比較的簡単に対応できるものがあり、今回のチャットボットを活用した自動応答システムにおけるお問い合わせ対応は主にこうした内容を対象としています。お客様としても、チャットボットであれば電話よりも気軽に聞きやすいですし、すぐに回答が返ってきてご自身で解決でき便利という利点があるかと思います。

中村:比較的簡単に対応できる内容というのは、例えば地震が起きた後に「戸棚に耐震ロックがかかってしまって開かない」というような内容です。また、「シンク周りの汚れがなかなか落ちないのでお手入れ方法を教えてほしい」というような、日常にまつわる質問もあります。

百武:こうした緊急性を伴わない、お手入れのノウハウのご相談などをチャットボットで対応することにより、コールセンターでは、例えば「水漏れしたのですぐに修理をしたい」というような急ぎのお問い合わせに対してより早く対応できるようになると考えています。

井谷:総合技術研究所で行ったPoCフェーズにおける研究でも、特に20~30代の比較的若い世代のお客様は、ご自身で解決できそうな問題については電話での問い合わせはせず、自分で調べて解決したいといったご意見が非常に多かったという結果があります。そうした自己解決のニーズがすでに存在しているため、チャットボットが正式公開されればきっと活用いただけると感じていました。

サプライヤーの情報もデータとして活用

井谷:今回のシステムでは、「ダイワファミリークラブ」のFAQデータに含まれる内容はもちろんですが、サプライヤーが一般公開されている情報をクローリング※2してその内容もデータとして活用することで、オーナー様が実際に利用している設備に関する質問に自動で回答できるようにしています。

データをクローリング※2する際にはサプライヤーに事前に連絡してご許可をいただいていますが、サプライヤーからはお客様のために公開している自社コンテンツの認知向上につながるので嬉しいというお声もいただいています。

武田:ちなみに、例えば建物で使われている部品等の一部を再度購入したいという場合には、「ダイワファミリークラブ」のWebサイトから、当社グループのロイヤルホームセンターが運営する「ロイモール」などを通じて、その部品等を購入することができるという仕組みもあります。

---さまざまなデータを活用し、また各機能と連携させることで、非常に便利なシステムになっていますよね。

お客様と長期的な繋がりを持ち続けられることを期待

百武:台風が接近すると必然的にコールセンターへのお問い合わせが増えるので、これまでも「ダイワファミリークラブ」のWebサイトでは、台風接近の前に関連するご案内を表示し、メールでもご連絡することでオーナー様に事前に情報をご確認いただけるような体制を整えていました。

吉田:はい。ただしその場合、Webサイトにログインしないと見ていただけないというのがひとつのネックになっていました。

中村:Webサイトでは、登録してから2~3年経つとログインするオーナー様が減ってしまうという課題もあります。

吉田:LINEであれば、一度ログイン認証をすれば以降ログインなしで確認できるので、より多くの方にスムーズに情報を周知できると考えています。LINEを活用するようになってからは、タイムラインへ台風接近についてのご案内を表示するなどの取り組みを始めています。機能面も広く検討した上で、最終的に必要なものを選択し、良いものになったと思っています。

百武:LINEのおかげでより多くの方への定期的な周知が可能となり、また2~3年で接点がなくなってしまうという課題も改善できると感じています。情報発信や自動応答をしていきながら、お客様と長期的な繋がりを持ち続けられることを期待しています。

---オーナー様に対して、LINE公式アカウントの認知向上のために何か取り組みはされているのですか。

百武:はい。まずは「ダイワファミリークラブ」に加入いただき、合わせてLINE公式アカウントとも友だちになっていただくことが重要だと考えています。「ダイワファミリークラブ」はオーナー様専用ですので、オーナー様と接点のある事業所の営業担当者が直接ご案内することが必要と考え、社内の営業担当者への説明を実施しました。ただ一言「LINEと友だちになってください」と伝えるだけではなく、営業担当者自身がLINE公式アカウントやチャットボットのことを理解した上で、オーナー様にそのメリットや現在実施しているキャンペーンの内容などを説明できることが大切です。社内への浸透は力を入れていますね。キャンペーン実施の影響ももちろんありますが、今も1日数人はLINEの友だちが増えている状態なので、事業所の営業担当者への周知のおかげと感じています。

お客様の声をチャットボットが取得し、スピーディーな改善が可能

---チャットボットに寄せられるお問い合わせの内容については「おもてなしSuite」の管理画面からログを確認できますが、それを活用することでお客様が本当に知りたいことの発見にも繋がります。今後はこうした知見も活用できますよね。

井谷:毎月ログを確認し分析していますが、例えばクーポンや優待についてなど「ダイワファミリークラブ」に関係する質問も多く寄せられるということがわかりました。当初は住まいに関する質問を想定しており、「ダイワファミリークラブ」に関する質問への回答は対象外としていたのですが、お客様の関心が高いとわかったものについては回答できるデータを追加しています。また、コールセンターに電話するほどではないけれど気になるようなこと、例えば害虫・害獣への対応方法についての質問が多く寄せられているということもわかっています。充実した管理画面があり、またそこからいつでもログを確認できることで確認や改善の対応がスピーディーに行えるので、非常に便利だと感じています。

中村:そうですね。将来的にはそれで得られた知見を「ダイワファミリークラブ」のWebサイトのコンテンツとして反映することもやっていきたいです。

武田:管理画面ですぐ確認できること以外にも、「おもてなしSuite」はExcelで簡単にFAQデータを作ることができるという点も良さだと感じています。

回答精度の高さと拡張性が魅力的

井谷:総合研究所でPoCを実施した際には、さまざまなチャットボットを比較検討し、最終的には3社に絞って検証を行いました。そのなかでも「おもてなしSuite」はカスタマイズが容易な点と回答精度の高さが魅力的だと感じました。

---PoCにおいて回答精度が80%を超え、最終的に本稼働に至ったと伺いました。ありがとうございます。

井谷:はい。クローリング※2やDMP(Data Management Platform:データ管理プラットフォーム)連携ができる拡張性も魅力的でした。

---ありがとうございます。

---今回のプロジェクトは非常に大人数で取り組まれている印象があります。斉藤様は、大人数をまとめるプロジェクトのマネージャーとしての苦労などはありましたか。

斉藤:はい。今回の開発においては、今日の座談会に参加しているメンバーはもちろんですが、それ以外にも複数のシステム開発会社が関わっており、私はそのつなぎ役をしていました。当社はセキュリティに関するルールが厳しいのですが、各社とセキュリティ面における多くの項目を確認していくことで、最終的にセキュリティを担保したシステムが構築できたと実感しています。

武田:月に1回の頻度で、直接顔を合わせてチャットボット活用支援をしてくださることもありがたいと感じています。

---チャットボットの利用状況を確認することで、毎月さまざまな発見があることが私としても嬉しいです。

斉藤:システム担当としては、今後も拡張性の高さに期待しています。何かやりたいことが発生したときに、それが実現できるようなカスタマイズ性や柔軟な対応に期待したいです。

---はい。引き続き、お客様からいただいた声をもとに、機能アップデートや精度向上に努めてまいります。

中村:今後は、幅広い世代のお客様との繋がりに関して多様な方法が存在するなかで、チャットボットはその方法のひとつとして確立していけば良いですね。

武田:現在は主に住まいに関する質問への自動応答システムとなっていますが、今後については当社グループが展開するアパートやホテル、旅行代理店など、住宅以外の多くの事業にも展開していきたいです。グループ会社の事業全てのお客様に対して、例えば「子どもが就職したのですが良いアパートはないですか」「結婚式をするのですが良い式場はないですか」「旅行をしたいのですが…」といった質問について、全てまとめて情報発信や回答をできるようにしたいという想いがあります。将来的には、チャットボットが、当社グループの多様な事業に関して「何でも聞いてください」「何でもお答えします」と言えるようになることが理想です。

---お話をお聞かせくださりありがとうございました。今後もパートナーとして、大和ハウスグループに関わる全てのお客様の人生に寄り添うサービスを提供できればと考えていますので、よろしくお願いいたします。

※1 リッチメッセージとは、LINE公式アカウントにて、画像や動画とテキスト情報を1つの吹き出しにまとめて配信する機能のこと

※2 プログラムがWebサイトを巡回し、情報を収集すること

※2019年12月掲載。本文中に掲載されている制度や事例、部署名、役職等の内容は、掲載当時のものであり、

現在はそれらの内容が実在していない、あるいは変更されている可能性があります。


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